パパ募集掲示板で知り合ったみすずちゃんは、まだあどけなさの残る女の子で一緒に並んで歩いていたり食事をしていたりすると、傍から見ると本当に親子のようだったと思う。 もちろん、そんなパパ募集掲示板でパパを募っていたのだから、目的はお金である。 「私、母子家庭だったからパパみたいな存在が欲しかったんだよ」と、みすずちゃんは言っていたが、そこは何とでも言える。みすずちゃんがウソをついているとは思っていないが、あくまでもお金を介在させたビジネストークなのだろう。 ただ、パパと呼ばれて悪い気はしなかった。うちは父親が単身赴任なども多く、僕と滅多に顔を合わせることはなかった。だから父親と言う存在に思い入れはない。パパとか父さんとか呼んだ記憶さえ薄い。父親とはたまに家に帰ってくる男性と言う程度の認識だった。だから、実質母子家庭で育ったようなものだ。 愛人契約よりも純粋な関係を保てるデートパパ探しをする為に そして、高校を卒業した後はさっさと独立して、今は一人暮らしを満喫している。たまには、実家に帰ることもあるが、決まって父親は家にはいない。今後、母親は大切にしたいとは思うが、正直なところ、父親は放っておいても勝手に生きていくだろう。 だから、みすずちゃんに「パパ」と呼ばれた時は、ちょっとこそばゆい感覚に襲われた。僕にとって、それは本やドラマでしか見たことがないフィクションの世界だったからだ。もっとも、パパ募集掲示板にアクセスして女の子を探している時点で、僕は本当の気持ちにフタをしていたように思う。 みすずちゃんとは肉体関係はなかった。たまに会って、パパと娘のような関係でお小遣いを渡していただけだ。金銭面とは言え、みすずちゃんが僕をパパとして頼ってくれているのは事実だ。それが次第に心地よくなっていた。 そう言えば、実家に帰って母親と二人でご飯を食べている時にこんなことを言っていた。 「パパはお金だけはちゃんと入れてくれるからね。家庭を顧みていないわけではないんよ」 今の僕とみすずちゃんの関係は、父親と僕の関係に似ているのかもしれない。今度、父親と顔を合わせることがあれば「パパ」とでも呼んでみようかな、と思った。 困った時に助けてくれる人 お金欲しい掲示板
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