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melty/poet
9/2326人の文学少女に読んでいただきました。
【詩と解題】
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[11]spica1004
KY-42C
【Yell――みんなの特別な女の子――】
カレンダーめくれば
別れの春が来る
もう二度とあなたと
笑いあえなくなる
あなたが出会う人
未来の恋人に
エールを贈りたい
悔しい涙に染めて
ああ 上出来のさよならがしたい
鮮やかな記憶をここに残すように
ああ いちばんの笑顔で手をふる
未来の花嫁に涙をかわかすエール
★
私の心配は
何もしなくていい
みんなの特別な女の子
になれる
ぎこちない歌でも
一所懸命なら
みんなもそれほどに
悪い気はしないでしょう
ああ とびきりのときめきでいたい
リズムを崩したら泣き出してしまうわ
さあ めげないで そう 自分らしく
My dear loving heart!
涙をかわかすエール
――――――――――
──────
岡村孝子の「アデュー」という曲に触発されて。

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[10]spica1004
KY-42C
【音無町──The wind is on my side──】
緑の風わたれば
ひと息で何度でも
君の名前を呼べるだろう
ひとりでいる休日
幸せは冬日の青空
君に会いに
話をしに
風を味方につけて
音無町へ
走り抜けろ!
ミームだけが届いていた
近いのに遠い町
音無町も
青空だろう
───────────
ミーム_meme…文化遺伝子。非物質的文化を伝播させるものとして仮想された。
―――――――――――
大学生時代に、サークル活動によって急に広がった行動半径。見知らぬ町から来た、新しい友達。
今日は音無町方面へ行く用事がある。そこのアパートにいるポニーテールの後輩に偶然会えないかな?
自転車は追い風に乗って加速する。

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[9]spica1004
KY-42C
【舞鶴】
まだ明けぬ暁に
窓を叩く風
海へ続く小道に
鶴の羽が散る
忘れないでほしいと
思うような人
鶴が輪を描くように
別れ告げた人
飛ぶならば速く飛べ
見るならば狭く見よ
小さすぎる翼は
かなぐり捨ててしまえ
★
いたのよそこに鶴が
……信じないでしょう
谷へ吹く風に乗り
ゆるく去っていった
くぐれる虹はあるの?
弱気な鳥には
幸ある人はいるの?
愛さない人に
あとから悔やむよりも
今この時始める
雲よりも高く飛び
あの鶴を驚かす
どこまでも飛んでいく
──────
──────
地名に触発されて書いた詩。
彼女が住む海辺の家は複雑な地形に取り囲まれている。

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[8]spica1004
KY-42C
【何度でも歌う】
心はいつも
嘘を重ね着して強くなる
逃れられないならば
何度でも歌う
虹をくぐる鳥よ――
黄泉を恐れぬ蝉よ――
その閉じた目で
私のために泣いて
★
記憶を秘めた螺旋を
刃物よりも恐れてる
冬に蒔かれた種の
契りを疑う
海をわたる蝶よ――
枝を棄てた鳩よ―― ※
その醒めた目で
私の体を見て
――――――――――――
※……ノアは洪水のあと、鳩を放つ。水が引いていないうちは、オリーブの枝をくわえて帰ってきた。

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[7]spica1004
KY-42C
【筑紫野】
懐かしむような
イナサの風が吹く
筑紫野に春の花を呼ぶ
アヅミの心に刻まれた
あえかなサナギの謡(うた)
歌わせる
――旅人は故郷に立ち止まらない
――風待ちは必ず終わる日がくる
――ワタツミは潮路に舟霊を招び
――神々を小舟の舳先に祀る
海の果ての
邪馬台(クニ)を目指せ
天ツ筑紫野は
弥生の風のなか
──────────
イナサ……南東の風。
アヅミ……安積族。海洋民族。
あえかな……消え入るような、
サナギ……銅板を丸めた楽器。
ワタツミ……海洋民族の総称として、すべての日本人の共通の祖先のイメージとしてこの語を置いた。

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[6]spica1004
KY-42C
【長袖のシャツと自転車で】
見つけようと思えば
幸せはどこでもある
こころ開き思えば
恋人はそこにいる
こすもすに会いに
長袖のシャツと自転車で
行こう
君の瞳 乾くように
ポケットは今日は
空っぽでいいよ
コンナコト
ずっと続くはずない
★
昨日のこと思えば
今日のことがくもるから
冷たい風が告げる
季節を受け容れよう
あの人はきっと
お見通しだから心配は
ないよ
今日言わなきゃ 損しちゃうよ
小細工はナシで
不器用でいいよ
コンナコト
ずっと続くはずない
小細工はナシで
不器用がいいよ
カタオモイ
ずっと続くわけない
――――――
――――――
大学まで6キロを毎日、自転車で通っていた。
その延長で、自転車で市境を越えるのは簡単だった。
この詩は、そこからの想像だ。
道端にコスモスがあってもいいじゃないか。
風は少し冷たいほうがいいじゃないか。

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[5]spica1004
KY-42C
【真水に棲む魚】
もう
誰の言葉も届かない
嘘もないけど理由(わけ)もない
もし
許されるなら 川になり
水を運んで暮らしたい
真水に棲む魚を住まわせて
泡沫(うたかた)はじける時 夢をみる
つねに心のままに
★
この
世界の果てに君がいる
それだけで熟睡できる
さて
寂しがりやに憧れて
世界を瓦礫にしようか
真水の川が一つ残りゃいい
余計なものは地層に溶かそう
つねに心のままに
★
あれ
帰る家さえわからない
歩き方さえ忘れてる
ああ
歪みは歪みを保って
君が望んだ闇になる
真水に命が蠢(うごめ)くならば
私も 瞼のない目を見張る
つねに心のままに
──────────
おことわり:この詩は2011年以前に書かれました。
──────────
僕は川になりたい、という欲求がある。
凛々しい川を見たからだ。
で、川になってどうするのか。
空想はふくらんだ。

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[4]spica1004
KY-42C
【いのちの林】
若葉が雫を落とすよ
気高い
いのちの林
静かな呼吸が戻るよ
さざめく
進化の林
もう
樹液の呪縛も
神秘の真理も
沈めて
この
美しい樹々が
世界へと枝を
繁らす
★
記憶が饒舌になるよ
たかまる
歴史の林
理想が祈りを超えるよ
あふれる
未来の林
もう
優しいものを
優しいとみては
いけない
この
美しい樹々を
美しいままに
繁らせ
■
若葉が雫を落とすよ
気高い
いのちの林
──────
──────
屋久島のイメージ。
★★★★★★★★★★★
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[3]spica1004
KY-42C
【木漏れ陽を集めて】
時々あなたのことが気になります。
一行だけの手紙書きたくなります
私は幸せついばむ小鳥です
小さな羽では届くはずなどないのに
回れ 回れ 運命
奪い取れ 勇気
重い 重い 呪文を
気楽に唱えよう
もう泣きません 木漏れ陽を集めて
誰よりも輝く
★
夢見ることだけ上手になりました
少しは器用に笑ってみたりできます
私は季節に遅れた小菊です
優しい少女よ 髪に飾ってください
回れ 回れ 法則
語り継げ 神話
重い 重い 摂理を
身軽に受け流す
もう泣きません 植物の言葉で
饒舌にささやく
──────
──────
かわいいけど、弱くない。
そんな女の子、いないようで、案外、いる。

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[2]spica1004
KY-42C
【Yell――みんなの特別な女の子――】
カレンダーめくれば
別れの春が来る
もう二度とあなたと
笑いあえなくなる
あなたが出会う人
未来の恋人に
エールを贈りたい
悔しい涙に染めて
ああ 上出来のさよならがしたい
鮮やかな記憶をここに残すように
ああ いちばんの笑顔で手をふる
未来の花嫁に涙をかわかすエール
★
私の心配は
何もしなくていい
みんなの特別な女の子
になるわ
ぎこちない歌でも
一所懸命なら
みんなもそれほどに
悪い気はしないでしょう
ああ とびきりのときめきでいたい
リズムを崩したら泣き出してしまうわ
さあ めげないで そう 自分らしく
My dear loving heart!
涙をかわかすエール
――――――――――
岡村孝子の「アデュー」という曲に触発されて。
一所懸命→一生懸命は、江戸時代あたりからのようです。

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[1]spica1004
KY-42C
【永劫のみどり】
・
みどり ほとばしれ
みどり もえあがれ
すべての遺伝子とまじわれ
みどり はねまわれ
みどり ふきあれろ
あやまちの螺旋をほふれ
愛に変われ
えいえんのじかんをつらぬけ
てんきゅうのくうかんをみたせ
さいぼうのはたらきをすべよ
みらいのえいちのたねとなれ
みどり とびはねろ
みどり ふきあれろ
歴史の暗黒を
愛で満たせ
───────
──
遺伝子に命令する内容である。
いや、命令するのは遺伝子のはずである。
お前は誰だ?

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