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【詩と解題】
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[13]spica1004 KY-42C
【森は囁く】

森を駆けまわる娘たちは
美しい脚と心を持つ

光れ ほとばしれ 森のいぶき
肌をさらす娘たちの髪を揺らせ
真実のいぶき

二畳紀の夢を見ているよう
人類はやがて愛に届く

★

歌をくちずさむ娘たちは
美しい指とかかとを持つ

とがれ 透きとおれ 森のいのち
胞子たちが娘たちの姿を借り
真実を語る

隕石の夏を繰り返して

人類はやがて神を殺す
★

叩け 焼き尽くせ 森のいかり
とり憑かれた娘たちの罪を清め
真実が笑う

贖罪の闇に森が沈む
人類はやがて自我を閉ざす

――――――――――
――――――――――
二畳紀…ペルム紀とも。恐竜が絶滅したといわれる。

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[12]spica1004 KY-42C
【月が癒す】

窓際に肘をつき 月影に身をまかせ
癒されぬ傷もあると 私は知った
年上の貴女には 片手間の恋なれど
癒されぬ傷もあると 私は知った

現世(うつせみ)に生きるゆえに
悲しみは波の宿命(さだめ)

満ちる月 欠ける月に 心なごませれば
慰めの言葉になる

★

この思い 幾百に砕ければいいのにね
せめて ひとかけらぐらい 貴女に分けたい
陽ざかりの夏の日に 散る花があることに
貴女がたじろがぬよう ひそかに分けたい

季節(おりふし)に感じるまま
悲しみを友と迎え

昇る月 沈む月に 心響きあえば
ひとり寝の夜を過ごす

★

一瞬(たまゆら)の時を生きて
刹那の恋を夢みる

照る月に 曇る月に 心許しあえば
ひとり寝の夜を明かす

――――――――――
──────

あくまでも和風ですよ、和風。


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[11]spica1004 KY-42C
【Yell――みんなの特別な女の子――】

カレンダーめくれば
別れの春が来る
もう二度とあなたと
笑いあえなくなる

あなたが出会う人
未来の恋人に
エールを贈りたい
悔しい涙に染めて

ああ 上出来のさよならがしたい
鮮やかな記憶をここに残すように

ああ いちばんの笑顔で手をふる
未来の花嫁に涙をかわかすエール

★

私の心配は
何もしなくていい
みんなの特別な女の子
になれる

ぎこちない歌でも
一所懸命なら
みんなもそれほどに
悪い気はしないでしょう

ああ とびきりのときめきでいたい
リズムを崩したら泣き出してしまうわ

さあ めげないで そう 自分らしく

My dear loving heart!
涙をかわかすエール

――――――――――
──────
岡村孝子の「アデュー」という曲に触発されて。

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[10]spica1004 KY-42C
【音無町──The wind is on my side──】

緑の風わたれば
ひと息で何度でも
君の名前を呼べるだろう

ひとりでいる休日
幸せは冬日の青空

君に会いに
話をしに
風を味方につけて
音無町へ
走り抜けろ!

ミームだけが届いていた
近いのに遠い町
音無町も
青空だろう

───────────
ミーム_meme…文化遺伝子。非物質的文化を伝播させるものとして仮想された。
―――――――――――

大学生時代に、サークル活動によって急に広がった行動半径。見知らぬ町から来た、新しい友達。

今日は音無町方面へ行く用事がある。そこのアパートにいるポニーテールの後輩に偶然会えないかな?
自転車は追い風に乗って加速する。


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[9]spica1004 KY-42C
【舞鶴】

まだ明けぬ暁に
窓を叩く風
海へ続く小道に
鶴の羽が散る

忘れないでほしいと
思うような人
鶴が輪を描くように
別れ告げた人

飛ぶならば速く飛べ
見るならば狭く見よ

小さすぎる翼は
かなぐり捨ててしまえ

★

いたのよそこに鶴が
……信じないでしょう
谷へ吹く風に乗り
ゆるく去っていった

くぐれる虹はあるの?
弱気な鳥には
幸ある人はいるの?
愛さない人に

あとから悔やむよりも
今この時始める

雲よりも高く飛び
あの鶴を驚かす

どこまでも飛んでいく


──────
──────

地名に触発されて書いた詩。

彼女が住む海辺の家は複雑な地形に取り囲まれている。



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[8]spica1004 KY-42C
【何度でも歌う】

心はいつも
嘘を重ね着して強くなる

逃れられないならば
何度でも歌う

虹をくぐる鳥よ――
黄泉を恐れぬ蝉よ――

その閉じた目で
私のために泣いて

★

記憶を秘めた螺旋を  
刃物よりも恐れてる

冬に蒔かれた種の
契りを疑う

海をわたる蝶よ――
枝を棄てた鳩よ――  ※

その醒めた目で
私の体を見て

――――――――――――

※……ノアは洪水のあと、鳩を放つ。水が引いていないうちは、オリーブの枝をくわえて帰ってきた。

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[7]spica1004 KY-42C
【筑紫野】

懐かしむような
イナサの風が吹く

筑紫野に春の花を呼ぶ

アヅミの心に刻まれた

あえかなサナギの謡(うた)
歌わせる

――旅人は故郷に立ち止まらない

――風待ちは必ず終わる日がくる

――ワタツミは潮路に舟霊を招び

――神々を小舟の舳先に祀る

海の果ての
邪馬台(クニ)を目指せ

天ツ筑紫野は
弥生の風のなか

──────────
イナサ……南東の風。

アヅミ……安積族。海洋民族。

あえかな……消え入るような、

サナギ……銅板を丸めた楽器。

ワタツミ……海洋民族の総称として、すべての日本人の共通の祖先のイメージとしてこの語を置いた。



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[6]spica1004 KY-42C
【長袖のシャツと自転車で】

見つけようと思えば
幸せはどこでもある
こころ開き思えば
恋人はそこにいる

こすもすに会いに
長袖のシャツと自転車で
行こう

君の瞳 乾くように

ポケットは今日は
空っぽでいいよ

コンナコト
ずっと続くはずない

★

昨日のこと思えば
今日のことがくもるから
冷たい風が告げる
季節を受け容れよう

あの人はきっと
お見通しだから心配は
ないよ

今日言わなきゃ 損しちゃうよ

小細工はナシで
不器用でいいよ

コンナコト
ずっと続くはずない

小細工はナシで
不器用がいいよ

カタオモイ
ずっと続くわけない

――――――
――――――

大学まで6キロを毎日、自転車で通っていた。

その延長で、自転車で市境を越えるのは簡単だった。

この詩は、そこからの想像だ。

道端にコスモスがあってもいいじゃないか。

風は少し冷たいほうがいいじゃないか。


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[5]spica1004 KY-42C
【真水に棲む魚】

もう
誰の言葉も届かない
嘘もないけど理由(わけ)もない

もし
許されるなら 川になり
水を運んで暮らしたい

真水に棲む魚を住まわせて

泡沫(うたかた)はじける時 夢をみる

つねに心のままに

★

この
世界の果てに君がいる
それだけで熟睡できる

さて
寂しがりやに憧れて
世界を瓦礫にしようか

真水の川が一つ残りゃいい

余計なものは地層に溶かそう

つねに心のままに

★

あれ
帰る家さえわからない
歩き方さえ忘れてる

ああ
歪みは歪みを保って
君が望んだ闇になる

真水に命が蠢(うごめ)くならば

私も 瞼のない目を見張る

つねに心のままに


──────────
おことわり:この詩は2011年以前に書かれました。
──────────
僕は川になりたい、という欲求がある。

凛々しい川を見たからだ。

で、川になってどうするのか。

空想はふくらんだ。


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[4]spica1004 KY-42C
【いのちの林】

若葉が雫を落とすよ
気高い
いのちの林

静かな呼吸が戻るよ
さざめく
進化の林

もう
樹液の呪縛も
神秘の真理も
沈めて

この
美しい樹々が
世界へと枝を
繁らす

★

記憶が饒舌になるよ
たかまる
歴史の林

理想が祈りを超えるよ
あふれる
未来の林

もう
優しいものを
優しいとみては
いけない

この
美しい樹々を
美しいままに
繁らせ
■
若葉が雫を落とすよ
気高い
いのちの林
──────
──────

屋久島のイメージ。

★★★★★★★★★★★
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[3]spica1004 KY-42C
【木漏れ陽を集めて】

時々あなたのことが気になります。
一行だけの手紙書きたくなります

私は幸せついばむ小鳥です
小さな羽では届くはずなどないのに

回れ 回れ 運命
奪い取れ 勇気

重い 重い 呪文を
気楽に唱えよう

もう泣きません 木漏れ陽を集めて
誰よりも輝く

★

夢見ることだけ上手になりました
少しは器用に笑ってみたりできます

私は季節に遅れた小菊です
優しい少女よ 髪に飾ってください

回れ 回れ 法則
語り継げ 神話

重い 重い 摂理を
身軽に受け流す

もう泣きません 植物の言葉で
饒舌にささやく
──────
──────
かわいいけど、弱くない。
そんな女の子、いないようで、案外、いる。


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[2]spica1004 KY-42C
【Yell――みんなの特別な女の子――】

カレンダーめくれば
別れの春が来る
もう二度とあなたと
笑いあえなくなる

あなたが出会う人
未来の恋人に
エールを贈りたい
悔しい涙に染めて

ああ 上出来のさよならがしたい
鮮やかな記憶をここに残すように

ああ いちばんの笑顔で手をふる
未来の花嫁に涙をかわかすエール

★

私の心配は
何もしなくていい
みんなの特別な女の子
になるわ

ぎこちない歌でも
一所懸命なら
みんなもそれほどに
悪い気はしないでしょう

ああ とびきりのときめきでいたい
リズムを崩したら泣き出してしまうわ

さあ めげないで そう 自分らしく

My dear loving heart!
涙をかわかすエール

――――――――――
岡村孝子の「アデュー」という曲に触発されて。

一所懸命→一生懸命は、江戸時代あたりからのようです。

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[1]spica1004 KY-42C
【永劫のみどり】

・
みどり ほとばしれ
みどり もえあがれ

すべての遺伝子とまじわれ

みどり はねまわれ
みどり ふきあれろ

あやまちの螺旋をほふれ
愛に変われ

えいえんのじかんをつらぬけ
てんきゅうのくうかんをみたせ
さいぼうのはたらきをすべよ
みらいのえいちのたねとなれ

みどり とびはねろ
みどり ふきあれろ

歴史の暗黒を
愛で満たせ


───────
──

遺伝子に命令する内容である。

いや、命令するのは遺伝子のはずである。

お前は誰だ?




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