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【詩と解題】
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[115]spica1004 KY-42C

【明日に】


誰よりもあなたを愛してきたから
今日の日まで立ち止まらず歩いてきたんだ

あなたがいる日々を幸せと感じる
理由もなく根拠もなく毎日過ごすよ

ありがとう 微笑みを いつも
これからも ずっと そばにいて

昨日より 今日よりも 明日に
つながるよ きっと ふたりの
明日に

────
────

まっすぐ、の何が恥ずかしい。
こんなに正直な歌詞を書いていたんだ、と自分で驚く。



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[114]spica1004 KY-42C

【stranger】


君の住む町を 自転車で走っても
逆光にくらみ 心はあとずさる

君が忘れたら 季節は置き去りで
切り取られたまま 埋もれてしまうだろう

僕はここで生まれたわけじゃなくて
はがゆくて もどかしい愛しかなくて

夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に
染まることしかできず

僕はここに住んでるわけじゃなくて
柔らかい 臆病な愛さえなくて

夜明け頃はコバルト色
海騒げば紫蘭色しらんいろに
染まることしかできず

─────
─────



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[113]spica1004 KY-42C

【曙町】


この町に住んでいいのは慈悲のある人だけよ

私はまだ私を許せない

たまにだけど 自分のこと
意気地なしだと思う

ベランダで花を育てています

曙町へようこそ 日当たりのいい町です

曙町へようこそ 坂道に猫がいます

 世界はここからです

★

この町に住んでいいのは正直な人だけよ

私はまだ私をさらせない

夜明け前に目が覚めても
伝える手段もない

リビングでラジオを聴いています

曙町へようこそ 洗いざらしの町です

曙町へようこそ 女学生も歩きます

 世界は今日からです

────
────

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[112]spica1004 KY-42C

【和楽団地】


夢の入り口だね
あなたの住む町は

理想に挫くじけるとき
訪ねてみたくなる

そして笑い声が
光と戯れる

どこよりも気高くて
それなのに優しい

人が学べるものは
あまりに少ないけど

僕が愛せるものは
かぞえきれないぐらい

この町のあちこちにあるよ

和楽団地

─────
─────

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[111]spica1004 KY-42C


【滑石】かっせき


生まれてくるとき
母の声を聞く

先例洗礼をうけて
ひとの世に入る

幸あれと
祈りの声

平穏やすらぎは
二度と来ない

★

滑らかな肌をもって
生まれれば

不幸せなどは
知らずにいたものを

休めよと
産土つちが告げる

「滑石の色をあげる」

欲しいのは
滑石の‖‖‖

────
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[110]spica1004 KY-42C

【夢の狩人】


川のなかを見てごらん
野をゆく川を

透明な水のなかを
泳いでいるよ

覚めたくない夢だよ
つかまえようよ

たぶんみんなこうして
歩いてるよ

★

人の汗を見てごらん
貴い汗を

愛する家族のために
働いてるよ

気高すぎる夢だよ
なんにも言わず

疲れている瞳で
笑ってるよ

★ 

流れる血を見てごらん
慈悲深い血を

命の重さを伝え
チューブを走る

かけがえない夢だよ
生きていこうよ

分けられない痛みも
分けたいんだよ

────
────

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[108]spica1004 KY-42C


【星の降る街】

混みあう国道
山に向かってステアリング

そこから始まる
蒼い夜のハイウエイ

深い悲しみを
クレスタに乗せたら

星の降る街に
さよならと言える

鈴田峠までに
君のソアラを抜こう
鈴田峠までに
星を撃ち落とそう

★ 

空港の島は
人工にきらめく

君はいつだって
僕をだましてた

ハンドルはいつも
傷つかないほうへ

溜め息にまかせ
浅く切ればいい

多良見たらみインターまでに
君の嘘を暴あばこう
多良見インターまでに
夢を見限ろう

深い悲しみを
助手席に乗せたら

君がいた街に
さよならと言える

─────
─────

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[107]spica1004 KY-42C


【廃墟の春】


すべて燃えた
すべて消えた

深い悲しみから
生まれた「いのち」

ひとしずくの
露のなかに

ちいさな胞子が
つくられました

春がきました

★ 

誰もいない
誰も来ない

黄泉の国のような
静寂しじまの朝に

鳥が鳴いた
一羽だけで

たった一羽だけで
鳴いていただけ

春が来ました

────
────



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[106]spica1004 KY-42C


【筑後川】on the mark


遠い日は広い河の岸で悔し泣きしていた

キラキラと憎いほどに

河はまぶしく光ってた

僕はやがて ずるいことを覚える

だけど待とう
濡れたシャツを冷やす風

歌を創れ 歌に還れ

軽い羽を取り戻そう

いま心のon the mark

───────
───────

ずるいこと……悲しみに正面から向き合わず、妥協して生きていくこと。

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[105]spica1004 KY-42C

【力を欲する者たちは】


大袈裟なほどハンドルを切る
水面に刺さる大粒の雨

いつか見た空 思い出せない
ひとりで探す私の希望

力を分けてくれるなら
たとえ悪でもかまわない

★

泣けばよかった 泣けた季節に
まぶしいほどに過去は輝く

切れ端ばかり集めたような
意味のない都会まち走り抜けたら

力でねじ伏せてしまえ
名前で呼べるもの すべて

力で滅ぼしてしまえ
言葉にできないものまで

──────
──────

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[104]spica1004 KY-42C
【西の風が吹くとき】


すこし 窓を開けたらいいね
あの町が見えたなら

もっと 心開いてみよう
優しさに会うために

海沿いの道を走り
トンネルをいくつか抜けて

懐かしいダイヤルで
懐かしい声を聞こうよ

西の風が吹くときは
心はやるから

これ以上無邪気には
なれない

そんな気がする 

★

そうさ 嘘をやめたらいいね
あの人に会えたなら

そして 大きな声で言おう
“諦めはしないよ”と

季節より早い風と
降りそそぐ星を味方に

憎いほどの自信で
懐かしい肩を抱こうよ

西の風が吹くときは
心はやるから

これ以上素直には
なれない

そんな気がする

─────
─────

ダイヤル……この場合はカーラジオ。

独身寮から60キロをドライブして週末ごとに実家に帰っていた頃の話。

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[103]spica1004 KY-42C


【朝日が昇るとき】


味方なんて自分だけでいいと言う
君のことを否定できるわけはない

僕はまた支えにはなれなくて
自分を責める それだけ

準備は終わったね
明日はもう お別れだね

僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす

★

ひとの痛み背負うほどの優しさが
いつの日にか僕の胸にも宿るだろう

この僕のあどけない強がりを
笑わないでね いまだけ

朝日が昇るとき
始まるんだ 君の未来

僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす

─────
────

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[102]spica1004 KY-42C

【海に生きる少女】


記憶なんて頼りなさすぎ
どうして僕は懐かしむのだろう

だって僕は初めて来たんだ
そして君を初めて知ったんだ

日差し浴び 君は目を細める
僕はもう 君しか見たくない

海に生まれ 海に恋して
すべてを学び すべてを超える

まぶしすぎて ためらうせいで
真実なんて 言葉にできるはずがないんだ
 
きっと

──────
──────

デジャ・ヴで説明つくものなら。

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[101]spica1004 KY-42C

【晴れた日のために】


踊るように光る川は
学生通りを過ぎて
笑い声に照れるように
ときどき波をたてるよ

もうすぐ日差しあふれるだろう
少女が夢見たように

この手のなかで生まれた歌を
晴れた日のために歌う

★

星と星の間にある
闇はもう怖くないね
風と土と涙からは
逃げ切ることは無理でも

もうすぐ浄化は終わるだろう
少女が許されるとき

君だけのため作った歌を
晴れた日のために歌う

──────
──────

ただの明るい詩。

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[100]spica1004 KY-42C

【無明】むみょう


時には
安楽椅子で
過ぎた昔を思い起こす

別れた
あの人たちの顔はみんな
微笑み浮かべてる

私はどこまで行くの?
終着駅にはいつ着くの?
躓つまずき 忘れられても
黙って歩けば近づくの?

輝きを失って
心 年経ふりて
素直な言葉さえも
疑ってしまう

無明のときがもう
私を閉じ込める

─────
─────

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[98]spica1004 KY-42C


【古い映画のように】


古い映画のように色が戻る
時間がたつとともに胸が痛む
もっと遠くにいたい
──おねがい

遠くの光が怖い
舞いたつ破片きららのように
何度も瞬くせいで
見返す勇気を減らす

★

今も心に残る辛い昨日
私みたいな人を抱いたあなた
夏の終わりに決めた
──さよなら

学生通りをゆるく
行き交う人々たちは
みんなが笑顔をつくり
孤独を追い越していく

──────
──────

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[97]spica1004 KY-42C


【とも子さんが歌ってくれた子守唄】


疲れはてた溜め息でもいいから
伝えられるものはすべて
わたしの背中に預けて

そしりも 涙も わたしに返して
あなたの大事な彼女ひとが泣くまえに
あなたはきっと優しすぎるから

──おやすみ おやすみ 
わたしは
──おやすみ おやすみ 
さびしさも
愛してゆける

──────
──────
うーん、とくに書くこともないなぁ。

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[96]spica1004 KY-42C


【星の降る里】


星の降る里で君に伝えたい

遠く遠い声をついばむ鳥になり

君が好きですとそっと囁こう

細く細く誰も聞き取れないように

帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ

★

寒い星空は思い出させます

むかし死んだ人を優しきあの人を

君の優しさと愛のせつなさと

辛く辛いときも星を忘れるなと

帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ

─────
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[95]spica1004 KY-42C


【若い樹】


思い出はいつも
優しい陽だまり
色褪せた夢さえも輝くわ

綺麗じゃないよね
仕方がないよね
ぎこちないけど諦められない

あなたが望むならば
この樹は繁り

きららきらら 光りだす
梢まで

★

いつかは見つける
私のしあわせ
意外なほどに近くにあるはず

あなたが笑えば
世界がうなずく
あっけないほどピースが埋まる

あなたが祈るならば
この樹は稔みのり

さららさらら 歌いだす
不思議だね

───────────
───────────
音無響子さんのイメージ……

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[94]spica1004 KY-42C


【Namaste】


手探りだけの闇のなかで
あなたのてのひら
出会えました

行き先のない船でもいい
あなたのぬくもり
すがりつきます

Namaste Namaste
あなたを信じる

明けない夜はないと
あなたは言った

★

自分のために祈るならば
なにも得られぬと
あなたは笑う

許し許され 心を交わし
すべてのしあわせ
求めなさいと

Namaste Namaste
あなたに従う

やまない雨はないと
みんな知ってる

───────────
───────────
あなた=大日如来
───────────


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[93]spica1004 KY-42C


【桔梗のうた】


夜を忍んで逢いたい
恨みを越え逢いたい

死者と生者の定めは
交われない悲しみ

我の名は忘れてしまえ
ひとり咲け そして枯れゆけ
桔梗よ

魂は癒されることなし

逢いたくても逢えないなら
独り寝のこの夜
明けるな

★

弓を絞れど虚しい
命はもう戻らず

嘆く鴉からすは吾が友
もうよい とく帰れよ

ひとの心移るときを
見抜くなら 吾に教えよ
桔梗よ

魂は満たされることなし

時と時が重なるなら
吾が身に罪あるも
責めるな

─────
─────
桔梗・・・高橋留美子原作「犬夜叉」に登場する悲劇のヒロイン。退魔の弓使いの巫女。

つまり、これはキャラソンである。
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[92]spica1004 KY-42C


【恵美の舗道】


君の素肌の温もりを
感じていた頃は

幸せという言葉さえ
素直に言えたのに

 恵美の舗道に
 また春がめぐるとき

 僕は図書館の
 白い座席に帰ろう

 そこから街を見下ろして
 小説を読み返そう

★

八月は悲しみの月
繰り返される過失

君とよく似た女性を
愛してしまう気候

去年と同じみたいでも
花も人も違う   ※

丘へと風が集まって
僕を牽制する

 恵美の舗道が
 秋の気配運ぶころ

 僕は文学の翼を
 試してみよう

 羽の裏の白さを見せ ※※  
 小説を書き直そう

─────
─────
※年年歳歳、花相似たり
 歳歳年年、人同じからず 

※※【習】という漢字は、鳥が羽の裏の白を見せて、飛び立つ練習をすることを表す。余談だが、鳥も飛行機も向かい風に飛び立つ。 

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第2連、つまり2番のほうが長いという珍しい歌詞になりました。
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[91]spica1004 KY-42C


【昼の月】


気をつけて 逃げ水の恋です
夏がまぶしいから
見えるはずのものが見えないのに
気づかない

目を開けて 私だけを見てて
昼の月のように
光なくしてから 見えてくるものも
あるわ

もう傷つくこと 悲しむこと
何もない 悔やまないで

昼と夜が呼び交わすとき
今の恋が本物になる

★

よく聞いて 少し不安だから
夏が褪せるまえに
つかみかけた夢を
五線に残しておいて

そばだてて その耳を鋭く
若い恋はpiano
虫の羽音に似て 頼りない和音
だから

もう気遣うこと ためらうこと
何もない 悔やまないで

空へ人が呼びかけるとき
今の恋が真実になる

─────
─────

恋愛って、なんでこんなに″あやふや″なんだろう。

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[90]spica1004 KY-42C


【君の空】


雲の動きを目で追うように
あなたの背に届くように
祈りをこめる

痛みにくらみ 目を細め
君の空を見上げている
自由を賭けた跳躍を
やめないように

今日の思いを忘れないから
僕はずっと幸せです
とんな冬でも

★

氷のような余韻を残し
すれ違った刹那の恋を
悔やまないけど

はじけた胸と 閉じた目で
君の空を見上げている
まぶたを刺して慰める
光の中で

今日の契りを刻みつけたら
善も悪もまじめに暮らす
ここに帰ろう

────────
────────

ひとつだけ間違いないこと。
あの人が、この空の下にいるということ。
あの頃もそうだったのに。
もっと近かったのに。

─────



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[89]spica1004 KY-42C


【だれかが口笛ふいた】


──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に

待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもうためらわず
君の味方になれる

輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように

★

懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける

誠実さが ただ一つの

君を選ぶ 理由わけであると
──────
──────

小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。

自分の作詞作曲の原点となった曲である。

爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。
▽
冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。

「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
───────


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