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melty/poet
16/2311人の文学少女に読んでいただきました。
【詩と解題】
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[113]spica1004
KY-42C
【曙町】
この町に住んでいいのは慈悲のある人だけよ
私はまだ私を許せない
たまにだけど 自分のこと
意気地なしだと思う
ベランダで花を育てています
曙町へようこそ 日当たりのいい町です
曙町へようこそ 坂道に猫がいます
世界はここからです
★
この町に住んでいいのは正直な人だけよ
私はまだ私をさらせない
夜明け前に目が覚めても
伝える手段もない
リビングでラジオを聴いています
曙町へようこそ 洗いざらしの町です
曙町へようこそ 女学生も歩きます
世界は今日からです
────
────

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[112]spica1004
KY-42C
【和楽団地】
夢の入り口だね
あなたの住む町は
理想に挫けるとき
訪ねてみたくなる
そして笑い声が
光と戯れる
どこよりも気高くて
それなのに優しい
人が学べるものは
あまりに少ないけど
僕が愛せるものは
かぞえきれないぐらい
この町のあちこちにあるよ
和楽団地
─────
─────

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[111]spica1004
KY-42C
【滑石】かっせき
生まれてくるとき
母の声を聞く
先例をうけて
ひとの世に入る
幸あれと
祈りの声
平穏は
二度と来ない
★
滑らかな肌をもって
生まれれば
不幸せなどは
知らずにいたものを
休めよと
産土が告げる
「滑石の色をあげる」
欲しいのは
滑石の‖‖‖
────
────

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[110]spica1004
KY-42C
【夢の狩人】
川のなかを見てごらん
野をゆく川を
透明な水のなかを
泳いでいるよ
覚めたくない夢だよ
つかまえようよ
たぶんみんなこうして
歩いてるよ
★
人の汗を見てごらん
貴い汗を
愛する家族のために
働いてるよ
気高すぎる夢だよ
なんにも言わず
疲れている瞳で
笑ってるよ
★
流れる血を見てごらん
慈悲深い血を
命の重さを伝え
チューブを走る
かけがえない夢だよ
生きていこうよ
分けられない痛みも
分けたいんだよ
────
────

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[108]spica1004
KY-42C
【星の降る街】
混みあう国道
山に向かってステアリング
そこから始まる
蒼い夜のハイウエイ
深い悲しみを
クレスタに乗せたら
星の降る街に
さよならと言える
鈴田峠までに
君のソアラを抜こう
鈴田峠までに
星を撃ち落とそう
★
空港の島は
人工にきらめく
君はいつだって
僕をだましてた
ハンドルはいつも
傷つかないほうへ
溜め息にまかせ
浅く切ればいい
多良見インターまでに
君の嘘を暴こう
多良見インターまでに
夢を見限ろう
深い悲しみを
助手席に乗せたら
君がいた街に
さよならと言える
─────
─────

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[107]spica1004
KY-42C
【廃墟の春】
すべて燃えた
すべて消えた
深い悲しみから
生まれた「いのち」
ひとしずくの
露のなかに
ちいさな胞子が
つくられました
春がきました
★
誰もいない
誰も来ない
黄泉の国のような
静寂の朝に
鳥が鳴いた
一羽だけで
たった一羽だけで
鳴いていただけ
春が来ました
────
────

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[106]spica1004
KY-42C
【筑後川】on the mark
遠い日は広い河の岸で悔し泣きしていた
キラキラと憎いほどに
河はまぶしく光ってた
僕はやがて ずるいことを覚える
だけど待とう
濡れたシャツを冷やす風
歌を創れ 歌に還れ
軽い羽を取り戻そう
いま心のon the mark
───────
───────
ずるいこと……悲しみに正面から向き合わず、妥協して生きていくこと。

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[105]spica1004
KY-42C
【力を欲する者たちは】
大袈裟なほどハンドルを切る
水面に刺さる大粒の雨
いつか見た空 思い出せない
ひとりで探す私の希望
力を分けてくれるなら
たとえ悪でもかまわない
★
泣けばよかった 泣けた季節に
まぶしいほどに過去は輝く
切れ端ばかり集めたような
意味のない都会走り抜けたら
力でねじ伏せてしまえ
名前で呼べるもの すべて
力で滅ぼしてしまえ
言葉にできないものまで
──────
──────

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[104]spica1004
KY-42C
【西の風が吹くとき】
すこし 窓を開けたらいいね
あの町が見えたなら
もっと 心開いてみよう
優しさに会うために
海沿いの道を走り
トンネルをいくつか抜けて
懐かしいダイヤルで
懐かしい声を聞こうよ
西の風が吹くときは
心はやるから
これ以上無邪気には
なれない
そんな気がする
★
そうさ 嘘をやめたらいいね
あの人に会えたなら
そして 大きな声で言おう
“諦めはしないよ”と
季節より早い風と
降りそそぐ星を味方に
憎いほどの自信で
懐かしい肩を抱こうよ
西の風が吹くときは
心はやるから
これ以上素直には
なれない
そんな気がする
─────
─────
ダイヤル……この場合はカーラジオ。
独身寮から60キロをドライブして週末ごとに実家に帰っていた頃の話。

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[103]spica1004
KY-42C
【朝日が昇るとき】
味方なんて自分だけでいいと言う
君のことを否定できるわけはない
僕はまた支えにはなれなくて
自分を責める それだけ
準備は終わったね
明日はもう お別れだね
僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす
★
ひとの痛み背負うほどの優しさが
いつの日にか僕の胸にも宿るだろう
この僕のあどけない強がりを
笑わないでね いまだけ
朝日が昇るとき
始まるんだ 君の未来
僕らはそれぞれに夢いだいて
歩きだす
─────
────

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[102]spica1004
KY-42C
【海に生きる少女】
記憶なんて頼りなさすぎ
どうして僕は懐かしむのだろう
だって僕は初めて来たんだ
そして君を初めて知ったんだ
日差し浴び 君は目を細める
僕はもう 君しか見たくない
海に生まれ 海に恋して
すべてを学び すべてを超える
まぶしすぎて ためらうせいで
真実なんて 言葉にできるはずがないんだ
きっと
──────
──────
デジャ・ヴで説明つくものなら。

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[101]spica1004
KY-42C
【晴れた日のために】
踊るように光る川は
学生通りを過ぎて
笑い声に照れるように
ときどき波をたてるよ
もうすぐ日差しあふれるだろう
少女が夢見たように
この手のなかで生まれた歌を
晴れた日のために歌う
★
星と星の間にある
闇はもう怖くないね
風と土と涙からは
逃げ切ることは無理でも
もうすぐ浄化は終わるだろう
少女が許されるとき
君だけのため作った歌を
晴れた日のために歌う
──────
──────
ただの明るい詩。

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[100]spica1004
KY-42C
【無明】むみょう
時には
安楽椅子で
過ぎた昔を思い起こす
別れた
あの人たちの顔はみんな
微笑み浮かべてる
私はどこまで行くの?
終着駅にはいつ着くの?
躓き 忘れられても
黙って歩けば近づくの?
輝きを失って
心 年経りて
素直な言葉さえも
疑ってしまう
無明のときがもう
私を閉じ込める
─────
─────

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[98]spica1004
KY-42C
【古い映画のように】
古い映画のように色が戻る
時間がたつとともに胸が痛む
もっと遠くにいたい
──おねがい
遠くの光が怖い
舞いたつ破片のように
何度も瞬くせいで
見返す勇気を減らす
★
今も心に残る辛い昨日
私みたいな人を抱いたあなた
夏の終わりに決めた
──さよなら
学生通りをゆるく
行き交う人々たちは
みんなが笑顔をつくり
孤独を追い越していく
──────
──────

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[97]spica1004
KY-42C
【とも子さんが歌ってくれた子守唄】
疲れはてた溜め息でもいいから
伝えられるものはすべて
わたしの背中に預けて
そしりも 涙も わたしに返して
あなたの大事な彼女が泣くまえに
あなたはきっと優しすぎるから
──おやすみ おやすみ
わたしは
──おやすみ おやすみ
さびしさも
愛してゆける
──────
──────
うーん、とくに書くこともないなぁ。

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[96]spica1004
KY-42C
【星の降る里】
星の降る里で君に伝えたい
遠く遠い声をついばむ鳥になり
君が好きですとそっと囁こう
細く細く誰も聞き取れないように
帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ
★
寒い星空は思い出させます
むかし死んだ人を優しきあの人を
君の優しさと愛のせつなさと
辛く辛いときも星を忘れるなと
帰りたい 帰りたい 星の降る里へ
帰りたい 帰りたい 星のふるさとへ
─────
─────

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[95]spica1004
KY-42C
【若い樹】
思い出はいつも
優しい陽だまり
色褪せた夢さえも輝くわ
綺麗じゃないよね
仕方がないよね
ぎこちないけど諦められない
あなたが望むならば
この樹は繁り
きららきらら 光りだす
梢まで
★
いつかは見つける
私のしあわせ
意外なほどに近くにあるはず
あなたが笑えば
世界がうなずく
あっけないほどピースが埋まる
あなたが祈るならば
この樹は稔り
さららさらら 歌いだす
不思議だね
───────────
───────────
音無響子さんのイメージ……

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[94]spica1004
KY-42C
【Namaste】
手探りだけの闇のなかで
あなたのてのひら
出会えました
行き先のない船でもいい
あなたのぬくもり
すがりつきます
Namaste Namaste
あなたを信じる
明けない夜はないと
あなたは言った
★
自分のために祈るならば
なにも得られぬと
あなたは笑う
許し許され 心を交わし
すべてのしあわせ
求めなさいと
Namaste Namaste
あなたに従う
やまない雨はないと
みんな知ってる
───────────
───────────
あなた=大日如来
───────────

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[93]spica1004
KY-42C
【桔梗のうた】
夜を忍んで逢いたい
恨みを越え逢いたい
死者と生者の定めは
交われない悲しみ
我の名は忘れてしまえ
ひとり咲け そして枯れゆけ
桔梗よ
魂は癒されることなし
逢いたくても逢えないなら
独り寝のこの夜
明けるな
★
弓を絞れど虚しい
命はもう戻らず
嘆く鴉は吾が友
もうよい とく帰れよ
ひとの心移るときを
見抜くなら 吾に教えよ
桔梗よ
魂は満たされることなし
時と時が重なるなら
吾が身に罪あるも
責めるな
─────
─────
桔梗・・・高橋留美子原作「犬夜叉」に登場する悲劇のヒロイン。退魔の弓使いの巫女。
つまり、これはキャラソンである。
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[92]spica1004
KY-42C
【恵美の舗道】
君の素肌の温もりを
感じていた頃は
幸せという言葉さえ
素直に言えたのに
恵美の舗道に
また春がめぐるとき
僕は図書館の
白い座席に帰ろう
そこから街を見下ろして
小説を読み返そう
★
八月は悲しみの月
繰り返される過失
君とよく似た女性を
愛してしまう気候
去年と同じみたいでも
花も人も違う ※
丘へと風が集まって
僕を牽制する
恵美の舗道が
秋の気配運ぶころ
僕は文学の翼を
試してみよう
羽の裏の白さを見せ ※※
小説を書き直そう
─────
─────
※年年歳歳、花相似たり
歳歳年年、人同じからず
※※【習】という漢字は、鳥が羽の裏の白を見せて、飛び立つ練習をすることを表す。余談だが、鳥も飛行機も向かい風に飛び立つ。
─────
第2連、つまり2番のほうが長いという珍しい歌詞になりました。
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[91]spica1004
KY-42C
【昼の月】
気をつけて 逃げ水の恋です
夏がまぶしいから
見えるはずのものが見えないのに
気づかない
目を開けて 私だけを見てて
昼の月のように
光なくしてから 見えてくるものも
あるわ
もう傷つくこと 悲しむこと
何もない 悔やまないで
昼と夜が呼び交わすとき
今の恋が本物になる
★
よく聞いて 少し不安だから
夏が褪せるまえに
つかみかけた夢を
五線に残しておいて
そばだてて その耳を鋭く
若い恋はpiano
虫の羽音に似て 頼りない和音
だから
もう気遣うこと ためらうこと
何もない 悔やまないで
空へ人が呼びかけるとき
今の恋が真実になる
─────
─────
恋愛って、なんでこんなに″あやふや″なんだろう。

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[90]spica1004
KY-42C
【君の空】
雲の動きを目で追うように
あなたの背に届くように
祈りをこめる
痛みにくらみ 目を細め
君の空を見上げている
自由を賭けた跳躍を
やめないように
今日の思いを忘れないから
僕はずっと幸せです
とんな冬でも
★
氷のような余韻を残し
すれ違った刹那の恋を
悔やまないけど
はじけた胸と 閉じた目で
君の空を見上げている
まぶたを刺して慰める
光の中で
今日の契りを刻みつけたら
善も悪もまじめに暮らす
ここに帰ろう
────────
────────
ひとつだけ間違いないこと。
あの人が、この空の下にいるということ。
あの頃もそうだったのに。
もっと近かったのに。
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[89]spica1004
KY-42C
【だれかが口笛ふいた】
──だれかが口笛ふいた
──夏草の小道で
──だれかが口笛ふいた
──さわやかな朝に
待ちかねた青空に
君の笑顔映えれば
僕はもうためらわず
君の味方になれる
輝くほど 燦めくほど
悲しみだけ 薄れるように
★
懐かしい風が吹く
こんな淡い午後には
君に宛てた手紙に
ほんとのことが書ける
誠実さが ただ一つの
君を選ぶ 理由であると
──────
──────
小学生高学年の教科書に載っていたフランス民謡「誰かが口笛吹いた」。
自分の作詞作曲の原点となった曲である。
爽やかな歌詞と新鮮な転調。新しい扉が開いた。
▽
冒頭16小節は原曲のままで、それ以降は私の作曲である。
「君」は中学校の制服を着て、柔らかい光に溶けそうになりながら、そこに立っている。
───────

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[88]spica1004
KY-42C
【小夜曲2】
夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽の声
偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す
・
・
心騒ぐことは熄み
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る
渇仰のくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く
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[87]spica1004
KY-42C
【銀の鈴】
銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で
それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした
好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ
銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅のそばで
それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻をもてあます夜
銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛のそばで
─────
─────
和風、いいでしょ。

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