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【詩と解題】
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[88]spica1004 KY-42C


【小夜曲2】


夏の夜は水も冴え
叶わぬ恋を慰める
浅い眠り誘う楽がくの声

偽りの言葉 すでに無く
この胸の痛み 懐かしく
我もまた ひとつ あかり点す
・
・
心騒ぐことは熄やみ
億万の目が閉ざされる
寄せて返し 時は滞る

渇仰かつごうのくびき すでに無く
素足の天使が舞い降りて
浄められた窓 そっと叩く

────────
────────

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[87]spica1004 KY-42C


【銀の鈴】


銀の鈴を拾いました
名も知らぬ花の陰で

それは二度と帰ってこぬ
夏の恋の夢でした

好きと言えないままに
散り急ぐ野の花よ
恋が終わったならば
次の恋待ちわびよ

銀の鈴を拾いました
捨てられた口紅べにのそばで

それが美しいなら
私でも涙する
蛍 身を焦がすほど
文殻ふみがらをもてあます夜

銀の鈴を拾いました
捨てられた櫛くしのそばで

─────
─────

和風、いいでしょ。

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[86]spica1004 KY-42C


【醍醐】


ああ わたしの好みの光
そして 響き

ああ 小さな窓にも届く
朝の希望

そこまで来た夏は
愛のように甘い

そこまで来た夏は
愛のように甘い

さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに

ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか
・
・
指を弾はじくだけで
世界中に響く

呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる

菩提樹の枝には
迦陵頻伽かりょうびんが遊ぶ

菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ

さあ 脱けよう 輪廻サンサーラ
さあ 目指そう 涅槃ニルバーナ

ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか

──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────



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[85]spica1004 KY-42C


【帽振れ】


不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮

人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと

花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう

祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!

★

不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道

君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い

月の雫 両手に受け
君の町を目指そう

響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!

────────
────────

第一連では、あなた。第二連では、君。
距離感が変わったわけです。
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[84]spica1004 KY-42C



【笑顔のままで】


夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても

ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで

★

珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても

ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで

──────
──────

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[83]spica1004 KY-42C


【恒星の記録】


帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら

帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように

選ばないで
私はかなり希薄

飾らないで
あなたはきっと微弱

東雲しののめの時まで
起きて 観てるから

星たちの空を記録してほしい

★

慈悲深い心で
門を叩くなら
閂かんぬきをはずし

裸身を温める
恋人を迎え
差別しゃべつに親しむ
悲しみの部屋

咎とがめないで
私はかなり希薄

阿おもねないで
あなたはきっと微弱

暁のときまで
正気でいるから

星たちの空を記録してほしい

──────
──────
差別しゃべつ(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────

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[82]spica1004 KY-42C

【片淵】


経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる

学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる

不安な心のまま
この町に来ないでね

ためらう言葉なんて
定義不能だから

わかってくれるなら
帰去来かえりなん、いざ、片淵へ

わかってくれるなら

★

済生会さいせいかいの門からは
悩みのない空が見える

杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩かっぽする

彼女を想いながら
この町に来ないでね

未知数の愛なんて
二律背反だから

わかってくれたなら
帰去来かえりなん、いざ、片淵へ

わかってくれたなら

────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前




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[81]spica1004 KY-42C


【若菜川】


峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず

半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた

若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く

僕もいつか川を伝い
あの人の里へ

若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ

そして今日も
あの人とは会えないよと

告げた

★

許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい

若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた

若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ

僕もいつか川になって
あの人の許へ

若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く

そして今日は
このあたりで引き返せと

告げた

─────
─────

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[80]spica1004 KY-42C


【和楽団地】


夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後

そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり

──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地

★

愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね

弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず

──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地

──────────
※長崎県西彼杵郡長与町
──────────

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[79]spica1004 KY-42C


【コン・ソルディーノ】


弦いとに滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた

光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか

コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし

コン・ソルディーノ
君は音楽

★

青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか

画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし

コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし

コン・ソルディーノ
君は音楽

──────
──────

※コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて


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[78]spica1004 KY-42C

【闇の果てへ】


泣き濡れた町を
出れば逃れられる

行き先も知らず
飛ばせ 闇の果てへ

アクセルを踏み
悲しみこらえ
逃げる逃げるセリカ

養鶏場の前のカーブで
猫をはねたけれど

咎とがめる人もいないのね

★

未練だけ残し
砂を噛んだタイヤ

反射して襲う
デリニェータの光

追いかけないで
あなたとわたし
今日で終わりだから

暴力さえも沈黙さえも
追いつけない彼方

取り戻せないあの影絵

★

泣き濡れた町を出ても
泣くと思う

行く先も違う自由な人でさえ

平成〇〇年の誕生日まで有効──

わたしの免許では
追いつけない彼方
追いつけない明日
追いつけない

あなた

────
デリニェータ・・・ガードレールやトンネルの側壁にある小型の反射板
────



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[77]spica1004 KY-42C


【ここにないもの】


雨だれが庭を打つ
意味のない日曜日

自転車が濡れるから
買い物に出られない

 歌は資源にならない
 心は痩せてゆく

ここに神はいない
敵もいないけれど

ここに君はいない
時間を戻しても

ここに君はいない

★

読み飽きたはずの本
それなのに手に取った

猫たちは会いにくる
感情のない味方

 樹々は試薬にならない
 焦りがつのるだけ

ここに祝福はない
焦土は遠いけど

ここに惻隠そくいんはない
救いは未定義だ

ここに惻隠はない

────
────

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[76]spica1004 KY-42C


【ナメクジ・スケルツォ】

伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ

 祖先の祀まつりを
 忘れたせいだ

長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で

★

墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ

 梵語のspellを
 忘れたせいだ

因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で

─────
─────
spell・・・呪文という意味もある。
─────
電波です。
ひたすら、電波です。

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[75]spica1004 KY-42C


【時津】


今も忘れない爽やかな彩り
僕の好きだった伸びやかな光

君が忘れたら季節は置き去りで
切り取られたまま埋もれてしまうだろう

 僕はここで生まれたわけじゃなくて
 はがゆくてもどかしい愛しかなくて

夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に 
染まることしかできず

★

確かめたくても時は戻せないし
記憶にノンブル打つこともできない

 僕はここに住んでるわけじゃなくて
 柔らかく臆病な愛さえなくて

夜明けにはコバルト色
海騒げばさかな色に 
染まるだけでも

いいか

─────
─────

時津……長崎市の北に隣接する町。

ノンブル……英語ならnumber。

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[74]spica1004 KY-42C


【はるか空に夢の世紀】


心地よい風だね
話すこともないね
柔らかい風だね
ラジオが聞きたいね

僕が歌うのには地球は重すぎる
君の合い言葉passwordは百も知ってるけど

はるか空に夢の世紀
君だけを信じてる 夢の世紀

★

古典を読みたいね
楽譜を書きたいね
ワープロ打ちたいね
お寺に行きたいね

大きな蜘蛛の巣webが地球をだめにする
僕は誇り高い文盲もんもうでありたい

はるか空に夢の世紀
君だけを見ているよ 夢の世紀

はるか空に夢の世紀
君だけに会いたいよ 夢の世紀

─────
─────

明るい詩だと思います。

″蜘蛛の巣″の説明は蛇足かなぁ。

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[73]spica1004 KY-42C


【ルルドの泉】


なお遠い道の果て
わたしは行くそこまで
奇蹟の泉

善悪の彼方には
罪と嘆き集めた
カインの印

十字架を負う人の
たどる長き道程みちのり
薔薇の小径ローゼンシュプールは

星の降る方角へ
セント・ベルナデッタの 
眠る村まで

エリ・エリ・レマ・サバクタニ※

どこへ行けばいいのか
ルルドの泉

─────
─────
※わが神、わが神、なぜ我を見捨てたもうや
─────

ルルドの写真展を観て。

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[72]spica1004 KY-42C


【ナメクジ・マーチ】


みんな集まれ ここが古里
二度と帰らないと決めた兄弟よ

人はいないぞ みんな死んだぞ
いまやこの世界はすべて我らのもの

犠牲者の血を讃えよ
権威者カリスマの名を崇あがめよ

ここが祝福の国
ひとつに結ばれる

─────
─────

単なる電波ソング。よくやるよ、私。

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[71]spica1004 KY-42C


【帰依】

水を渡せ神々
ここは言霊ことだまの国
飛鳥を智恵で満たし
大陸を近づけろ

ときじくの実のなるところ
大和うるわし

斑鳩の白い道のうえに春の日射し

豊聡耳とよとみみの理想ゆめ

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────────
ときじくの実・・・・・・垂仁天皇が求めたという不老不死の果実。正しくは、トキジクノカクノコノミ。

豊聡耳・・・・・・聖徳太子のこと
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[70]spica1004 KY-42C

【吐血】

ほんとの愛ならば
とこしえに変わらぬと

誓いの血を吐いて
てのひらに擦なすれ

そんな細い腕で
誰を抱きしめられると言うのか

吼ほえる獅子のごとく
すべての軛くびきを壊し
走り出せ

★

偽善者を笑うな
真実を庇護するな

誓いの血を吐いて
沈黙に耐えろ

そんな弱い息で
誰を守れるとか言うつもりだ

愚者は愚者のままで
すべての知恵を求めて
動き出せ
──────
──────



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[69]spica1004 KY-42C


【天馬】


夜空の高みを走る天馬
わたしの窓まで降りてきたなら

ためらうことなくその背に乗り
子供の寝顔を見て回りたい

 おやすみ ぼうや 強くなって
 わたしの不安を救ってね

 おやすみ ぼうや 賢くなって
 誰かの予言を破ってね

★

あなたが生まれた悲しみより
わたしが生きてる意味は軽いね

ラムネの泡より短い夏
それでもひとりじゃもう歩けない

 おやすみ ぼうや 厳しくなって
 わたしの不正をあばいてね

 おやすみ ぼうや 鋭くなって
 呪文の矛盾を見抜いてね

───────
───────

いま読み返しても、電波な詩。

楽曲を曲から作るから、詩はどうにでもなってしまう?──そんなはずはない……

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[68]spica1004 KY-42C
【茂木】FORGET-SEA-NOT

波が立つときは舟影が消える
よそものたちから身を隠す

古里の海は古代の躍動
深く魚たち眠る茂木

忘れてしまうなこの海を
数えてしまうなこの船を

命が熔けてはいないのか
水面が赤く染まる茂木
・
・
漁が立つときは笑い顔あふれ
閉ざされた海をなめてゆく

女たちだけは強く手を合わせ
海よ安かれと祈る茂木

夕陽を招くか三毛猫よ
舟霊祀ふなだま まつるか漁火よ

漆黒の闇が訪れた
古里の海を忘れるな

漆黒の闇が訪れた
古里の茂木を忘れるな
──────
──────
茂木(もぎ)・・・長崎市郊外にある漁港。海は東になるので「夕陽を招くか」のフレーズはリアルではない。
──────

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[67]spica1004 KY-42C


【十一点鐘】


水色の窓際であなたの右手に水差し

そのままで名曲が聞こえてくるように思う

愛していいなら いつでも愛せる
愛していいなら いつでも愛せる

髪を撫で 急ぎ足
外出の支度をしてる

敬虔けいけんな日曜の
あなたしか知らない時間

★

ほら光 そして恋
あなたの自由な持ち物

近すぎて怖くなる
あなたはいつだって自然

短針が滑る まもなくイレヴン
短針が統すべる まもなくイレヴン

時打ちが終わったら
ひとつ願いが叶うだろう

崇高な日曜の
あなたしか要らない時間

─────
─────

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[66]spica1004 KY-42C


【らぷそでぃ】


かるくてをたたきそしておどろうよ
よるがあけるまでうたいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにひかるほしひるにねむるほし
まわりのすべてをひかりでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ

きみなんかだいきらいだからもうはなさない
いきのねをとめるほどだきしめてよあけまで
・
つよくてをあわせそしていのろうよ
なみだかれるまでわらいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにのろうほしひるにほろぶほし
まわりのすべてをひばなでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ

きみなんかたくさんだだからもうゆるせない
しんぞうをとめるまでだきしめてよあけまで
・
よるにもえるほしひるにさめるほし
まわりのすべてをほのおでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう
よ

────────
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[65]spica1004 KY-42C


【こんなに愛していた】


夕暮れになると道で足を止めて

祈りを捧げるように頭こうべ垂れた

憩やすらいのなかはすべて無色だった

謙虚な人の溜め息あつめていた

いつでも「かたち」が心を乱すらしい

語られぬ悲しみが影のように寄り添う

瞼が重いだろう
その重さに逆らうな

しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて

さあ

★

薄明はくめいの町を一人ゆるく歩き

優しい人の残り香そっとなぞる

涙を流せるならば終わるだろう

こんなに愛していたと言えるだろう

いつでも「ながれ」が心を変えるらしい

減らせない苦しみに僕は慣れていくのか

目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり

寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって

そう

────
────

ある意味、神聖な詩。

どうすれば心をさらけ出せるのか、を考えるとき、
光や気温や時間帯がおおいに作用していることを知る。

それは夕暮れである。
それは薄明である。 

泣きたい。
泣きたい。

誰のためでもなく、自分のために。

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[64]spica1004 KY-42C


【緑に降る光】


片思いはいつでも
風が運んだ花粉

指にからむためらい
 
あなたのせいで──

出会ってしまったから
こんな思いを抱いて
一人で森にいるよ

あなたのせいで──

 緑に降る光にまぶしそうに笑った

 あの無邪気な笑顔が
今も忘れられない

だけど光あふれて みどりは目に痛いよ

僕の小さな影は消されてしまう

★

白いショートパンツで
あなたはシャトルを追う

低くそして鋭く
サーブを返す

僕は歌を作って
何かを確かめていた
時々襲う挫折
楽しんでいた

 緑に透ける髪をバレッタでとめていた

 それは僕の心もつなぎとめたと思う

だけど光うすれて 夢は冬に移るよ

たぶん僕のせいだよ

僕のせいだよ

──────
──────

【浴衣】という楽曲の歌詞を全面改変。
原形ナシ。

最初は、緑が目に痛いよ→ミドリガメ(亀)に痛いよ、となったので、また改訂。

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