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melty/poet

9/2322人の文学少女に読んでいただきました。
【詩と解題】
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[86]spica1004 KY-42C


【醍醐】


ああ わたしの好みの光
そして 響き

ああ 小さな窓にも届く
朝の希望

そこまで来た夏は
愛のように甘い

そこまで来た夏は
愛のように甘い

さあ 踊ろう 夢のなか
さあ 笑おう 今すぐに

ああ 君はスジャータですか
もうここは天上ですか


指をはじくだけで
世界中に響く

呼吸を聴くだけで
こころ全てわかる

菩提樹の枝には
迦陵頻伽かりょうびんが遊ぶ

菩提樹の枝には
迦陵頻伽遊ぶ

さあ 脱けよう 輪廻サンサーラ
さあ 目指そう 涅槃ニルバーナ

ああ これはサルピスですか
もうここは天上ですか

──────
──────
サルピス・・・仏教でいう熟酥味(じゅくそみ、ヨーグルト味でいいかな?)。カルシウムを強化したら、カルピス。
──────



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[85]spica1004 KY-42C


【帽振れ】


不可解な色彩の渦で
あなたが見えない
甘やかな迷宮

人知れず 胸を焦がす恋
「蜜」と呼べる「罪」は
あなたの髪に触れたこと

花吹雪を肩に浴びて
笑い声をあげよう

祝う声にかき消される
僕の言葉
僕の指令──帽振れ!



不合理な満足の日々の
それなりの魅力
ときめく帰り道

君知るや 色褪せない愛
翼のある心
一途に走るこの思い

月の雫 両手に受け
君の町を目指そう

響きわたれ 響き交わせ
僕の言葉
君の合図──帽振れ!

────────
────────

第一連では、あなた。第二連では、君。
距離感が変わったわけです。
────────

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[84]spica1004 KY-42C



【笑顔のままで】


夜明けから日暮れまで
鳥が空にいるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

10時から6時まで
夢を見続けるように
僕は君のことだけ
考えることにしてる

実りのときが近づいたのは
君の笑顔でわかるよ
空と話すこともできるよ
信じていなくても

ここで
みどりを育ててくれますか
笑顔のままで
みどりを護ってくれますか
みどりのままで



珍しい蝶よりも
季節の草でありたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

背伸びするぐらいなら
誰も愛さずにいたい
僕は無理をしないで
君のために歌いたい

もっと深いよ もっと強いよ
君の笑顔の約束
人が人に立ち返れるよ
意識してなくても

ずっと
みどりを助けてくれますか
笑顔のままで
緑を愛してくれますか
みどりのままで

──────
──────

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[83]spica1004 KY-42C


【恒星の記録】


帰らない時なら
私はいらない
死んだ記憶なら

帰れ恋人なら
淋しい私に
声を分けてくれ
昔のように

選ばないで
私はかなり希薄

飾らないで
あなたはきっと微弱

東雲しののめの時まで
起きて 観てるから

星たちの空を記録してほしい



慈悲深い心で
門を叩くなら
かんぬきをはずし

裸身を温める
恋人を迎え
差別しゃべつに親しむ
悲しみの部屋

とがめないで
私はかなり希薄

おもねないで
あなたはきっと微弱

暁のときまで
正気でいるから

星たちの空を記録してほしい

──────
──────
差別しゃべつ(仏教用語)・・・あらゆるものがあるがままに存在し、その価値を認めあっている状態。
──────

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[82]spica1004 KY-42C

【片淵】


経済学部のあたりは
風が真夏を連れてくる

学生通りを渡って
私の窓に吹き寄せる

不安な心のまま
この町に来ないでね

ためらう言葉なんて
定義不能だから

わかってくれるなら
帰去来かえりなん、いざ、片淵へ

わかってくれるなら



済生会さいせいかいの門からは
悩みのない空が見える

杖がわりの乳母車で
年寄りたちが闊歩かっぽする

彼女を想いながら
この町に来ないでね

未知数の愛なんて
二律背反だから

わかってくれたなら
帰去来かえりなん、いざ、片淵へ

わかってくれたなら

────
────
経済学部・・・長崎大学経済学部
済生会(さいせいかい)・・・総合病院の名前




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[81]spica1004 KY-42C


【若菜川】


峠を下れば左手の谷間に
流れも清らな小川が見えるはず

半農半漁の小さな世界まで
ゆらゆら流れる小さな川のうた

若菜川よ 若菜川よ
誰のために行く

僕もいつか川を伝い
あの人の里へ

若菜川は 若菜川は
浅い春のいろ

そして今日も
あの人とは会えないよと

告げた



許されるものなら僕も川になって
夢見たあの人を焦がれて流れたい

若葉の光を反射してただよい
小さな憂いを集めた川のうた

若菜川よ 若菜川よ
好きな人を得よ

僕もいつか川になって
あの人の許へ

若菜川は 若菜川は
僕を待たず往く

そして今日は
このあたりで引き返せと

告げた

─────
─────

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[80]spica1004 KY-42C


【和楽団地】


夢の入口だね
あなたの住む町は
過ぎた日の優しさを思い出す午後

そして笑い声が
光とたわむれる
悲しみが遠ざかる そして温もり

──人が学べることは
あまりに少ないけど
──人が愛せるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地



愛を試すものは
いつでも多いけど
永遠の約束も信じられるね

弱気になるときも
未熟を恥じる日も
あなたを思い出せば
うまくいくはず

──僕が歌えることは
あまりに少ないけど
──歌いたくなるものは
数えきれないほどに

この町のあちこちにあるよ
和楽団地

──────────
※長崎県西彼杵郡長与町
──────────

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[79]spica1004 KY-42C


【コン・ソルディーノ】


いとに滑らす指を見ていた
風になろうと弦は泣いてた

光の庭で都会を忘れ
無邪気な心取り戻そうか

コン・ソルディーノ
君の声は小さすぎるよ
少し硬いし

コン・ソルディーノ
君は音楽



青いドレスを褒めてみようか
それとも細い脚にしようか

画家も詩人も出番がないよ
君は君だし 今は今だし

コン・ソルディーノ
君の声はかき消されるよ
少し痛いし

コン・ソルディーノ
君は音楽

──────
──────

※コン・ソルディーノ・・・弱音器をつけて


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[78]spica1004 KY-42C

【闇の果てへ】


泣き濡れた町を
出れば逃れられる

行き先も知らず
飛ばせ 闇の果てへ

アクセルを踏み
悲しみこらえ
逃げる逃げるセリカ

養鶏場の前のカーブで
猫をはねたけれど

とがめる人もいないのね



未練だけ残し
砂を噛んだタイヤ

反射して襲う
デリニェータの光

追いかけないで
あなたとわたし
今日で終わりだから

暴力さえも沈黙さえも
追いつけない彼方

取り戻せないあの影絵



泣き濡れた町を出ても
泣くと思う

行く先も違う自由な人でさえ

平成〇〇年の誕生日まで有効──

わたしの免許では
追いつけない彼方
追いつけない明日
追いつけない

あなた

────
デリニェータ・・・ガードレールやトンネルの側壁にある小型の反射板
────



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[77]spica1004 KY-42C


【ここにないもの】


雨だれが庭を打つ
意味のない日曜日

自転車が濡れるから
買い物に出られない

 歌は資源にならない
 心は痩せてゆく

ここに神はいない
敵もいないけれど

ここに君はいない
時間を戻しても

ここに君はいない



読み飽きたはずの本
それなのに手に取った

猫たちは会いにくる
感情のない味方

 樹々は試薬にならない
 焦りがつのるだけ

ここに祝福はない
焦土は遠いけど

ここに惻隠そくいんはない
救いは未定義だ

ここに惻隠はない

────
────

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[76]spica1004 KY-42C


【ナメクジ・スケルツォ】

伝令を走らせろ
すべての仲間を呼べ
人類が滅ぶのを
見届けてやる
ためにだ

 祖先のまつりを
 忘れたせいだ

長生きをしたいなら
行儀よくすることだ
異教徒の入れ知恵に
耳を貸さない
覚悟で



墓碑銘を彫り直せ
死者に名誉を返せ
不可逆の存在を
忘れてしまう
ためにだ

 梵語のspellを
 忘れたせいだ

因縁が怖いなら
信念を持つことだ
泥仕合するまえに
死に化粧する
覚悟で

─────
─────
spell・・・呪文という意味もある。
─────
電波です。
ひたすら、電波です。

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[75]spica1004 KY-42C


【時津】


今も忘れない爽やかな彩り
僕の好きだった伸びやかな光

君が忘れたら季節は置き去りで
切り取られたまま埋もれてしまうだろう

 僕はここで生まれたわけじゃなくて
 はがゆくてもどかしい愛しかなくて

夕暮れには夕暮れ色
雨降るなら雨の色に 
染まることしかできず



確かめたくても時は戻せないし
記憶にノンブル打つこともできない

 僕はここに住んでるわけじゃなくて
 柔らかく臆病な愛さえなくて

夜明けにはコバルト色
海騒げばさかな色に 
染まるだけでも

いいか

─────
─────

時津……長崎市の北に隣接する町。

ノンブル……英語ならnumber。

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[74]spica1004 KY-42C


【はるか空に夢の世紀】


心地よい風だね
話すこともないね
柔らかい風だね
ラジオが聞きたいね

僕が歌うのには地球は重すぎる
君の合い言葉passwordは百も知ってるけど

はるか空に夢の世紀
君だけを信じてる 夢の世紀



古典を読みたいね
楽譜を書きたいね
ワープロ打ちたいね
お寺に行きたいね

大きな蜘蛛の巣webが地球をだめにする
僕は誇り高い文盲もんもうでありたい

はるか空に夢の世紀
君だけを見ているよ 夢の世紀

はるか空に夢の世紀
君だけに会いたいよ 夢の世紀

─────
─────

明るい詩だと思います。

″蜘蛛の巣″の説明は蛇足かなぁ。

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[73]spica1004 KY-42C


【ルルドの泉】


なお遠い道の果て
わたしは行くそこまで
奇蹟の泉

善悪の彼方には
罪と嘆き集めた
カインの印

十字架を負う人の
たどる長き道程みちのり
薔薇の小径ローゼンシュプール

星の降る方角へ
セント・ベルナデッタの 
眠る村まで

エリ・エリ・レマ・サバクタニ※

どこへ行けばいいのか
ルルドの泉

─────
─────
※わが神、わが神、なぜ我を見捨てたもうや
─────

ルルドの写真展を観て。

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[72]spica1004 KY-42C


【ナメクジ・マーチ】


みんな集まれ ここが古里
二度と帰らないと決めた兄弟よ

人はいないぞ みんな死んだぞ
いまやこの世界はすべて我らのもの

犠牲者の血を讃えよ
権威者カリスマの名をあがめよ

ここが祝福の国
ひとつに結ばれる

─────
─────

単なる電波ソング。よくやるよ、私。

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[71]spica1004 KY-42C


【帰依】

水を渡せ神々
ここは言霊ことだまの国
飛鳥を智恵で満たし
大陸を近づけろ

ときじくの実のなるところ
大和うるわし

斑鳩の白い道のうえに春の日射し

豊聡耳とよとみみ理想ゆめ

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────────
ときじくの実・・・・・・垂仁天皇が求めたという不老不死の果実。正しくは、トキジクノカクノコノミ。

豊聡耳・・・・・・聖徳太子のこと
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[70]spica1004 KY-42C

【吐血】

ほんとの愛ならば
とこしえに変わらぬと

誓いの血を吐いて
てのひらになす

そんな細い腕で
誰を抱きしめられると言うのか

える獅子のごとく
すべてのくびきを壊し
走り出せ



偽善者を笑うな
真実を庇護するな

誓いの血を吐いて
沈黙に耐えろ

そんな弱い息で
誰を守れるとか言うつもりだ

愚者は愚者のままで
すべての知恵を求めて
動き出せ
──────
──────



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[69]spica1004 KY-42C


【天馬】


夜空の高みを走る天馬
わたしの窓まで降りてきたなら

ためらうことなくその背に乗り
子供の寝顔を見て回りたい

 おやすみ ぼうや 強くなって
 わたしの不安を救ってね

 おやすみ ぼうや 賢くなって
 誰かの予言を破ってね



あなたが生まれた悲しみより
わたしが生きてる意味は軽いね

ラムネの泡より短い夏
それでもひとりじゃもう歩けない

 おやすみ ぼうや 厳しくなって
 わたしの不正をあばいてね

 おやすみ ぼうや 鋭くなって
 呪文の矛盾を見抜いてね

───────
───────

いま読み返しても、電波な詩。

楽曲を曲から作るから、詩はどうにでもなってしまう?──そんなはずはない……

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[68]spica1004 KY-42C
【茂木】FORGET-SEA-NOT

波が立つときは舟影が消える
よそものたちから身を隠す

古里の海は古代の躍動
深く魚たち眠る茂木

忘れてしまうなこの海を
数えてしまうなこの船を

命が熔けてはいないのか
水面が赤く染まる茂木


漁が立つときは笑い顔あふれ
閉ざされた海をなめてゆく

女たちだけは強く手を合わせ
海よ安かれと祈る茂木

夕陽を招くか三毛猫よ
舟霊祀ふなだま まつるか漁火よ

漆黒の闇が訪れた
古里の海を忘れるな

漆黒の闇が訪れた
古里の茂木を忘れるな
──────
──────
茂木(もぎ)・・・長崎市郊外にある漁港。海は東になるので「夕陽を招くか」のフレーズはリアルではない。
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[67]spica1004 KY-42C


【十一点鐘】


水色の窓際であなたの右手に水差し

そのままで名曲が聞こえてくるように思う

愛していいなら いつでも愛せる
愛していいなら いつでも愛せる

髪を撫で 急ぎ足
外出の支度をしてる

敬虔けいけんな日曜の
あなたしか知らない時間



ほら光 そして恋
あなたの自由な持ち物

近すぎて怖くなる
あなたはいつだって自然

短針が滑る まもなくイレヴン
短針がべる まもなくイレヴン

時打ちが終わったら
ひとつ願いが叶うだろう

崇高な日曜の
あなたしか要らない時間

─────
─────

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[66]spica1004 KY-42C


【らぷそでぃ】


かるくてをたたきそしておどろうよ
よるがあけるまでうたいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにひかるほしひるにねむるほし
まわりのすべてをひかりでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


きみなんかだいきらいだからもうはなさない
いきのねをとめるほどだきしめてよあけまで

つよくてをあわせそしていのろうよ
なみだかれるまでわらいつづけよう
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう

よるにのろうほしひるにほろぶほし
まわりのすべてをひばなでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


きみなんかたくさんだだからもうゆるせない
しんぞうをとめるまでだきしめてよあけまで

よるにもえるほしひるにさめるほし
まわりのすべてをほのおでかざって
そうさこんやこそきみをだきしめて
ぼくはうたう


────────
────────



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[65]spica1004 KY-42C


【こんなに愛していた】


夕暮れになると道で足を止めて

祈りを捧げるようにこうべ垂れた

やすらいのなかはすべて無色だった

謙虚な人の溜め息あつめていた

いつでも「かたち」が心を乱すらしい

語られぬ悲しみが影のように寄り添う

瞼が重いだろう
その重さに逆らうな

しゃがんでしまえばいい
この場所で膝を抱いて

さあ



薄明はくめいの町を一人ゆるく歩き

優しい人の残り香そっとなぞる

涙を流せるならば終わるだろう

こんなに愛していたと言えるだろう

いつでも「ながれ」が心を変えるらしい

減らせない苦しみに僕は慣れていくのか

目を閉じてもいいのなら
正直な子供になり

寝そべってしまいたい
この場所で泣きじゃって

そう

────
────

ある意味、神聖な詩。

どうすれば心をさらけ出せるのか、を考えるとき、
光や気温や時間帯がおおいに作用していることを知る。

それは夕暮れである。
それは薄明である。 

泣きたい。
泣きたい。

誰のためでもなく、自分のために。



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[64]spica1004 KY-42C


【緑に降る光】


片思いはいつでも
風が運んだ花粉

指にからむためらい
 
あなたのせいで──

出会ってしまったから
こんな思いを抱いて
一人で森にいるよ

あなたのせいで──

 緑に降る光にまぶしそうに笑った

 あの無邪気な笑顔が
今も忘れられない

だけど光あふれて みどりは目に痛いよ

僕の小さな影は消されてしまう



白いショートパンツで
あなたはシャトルを追う

低くそして鋭く
サーブを返す

僕は歌を作って
何かを確かめていた
時々襲う挫折
楽しんでいた

 緑に透ける髪をバレッタでとめていた

 それは僕の心もつなぎとめたと思う

だけど光うすれて 夢は冬に移るよ

たぶん僕のせいだよ

僕のせいだよ

──────
──────

【浴衣】という楽曲の歌詞を全面改変。
原形ナシ。

最初は、緑が目に痛いよ→ミドリガメ(亀)に痛いよ、となったので、また改訂。

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[63]spica1004 KY-42C


【緑ヶ丘】


緑ヶ丘に 優しい風が
わたし誘うように吹き寄せてくるわ

もしも あのとき素直だったら
光さす処へ行けたかもしれない・・・・・・

ためらう言葉ではなにも伝えられないと思うの
だから

お・ね・が・い・よ
このまま
す・て・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ

「アナタガ好キ」

で・も・だ・め・ね
青空
み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女ひとを思い出すの



緑ヶ丘に 月影さえて
眠り破るように囁いてくるわ

窓の外では 模様のない蛾が
光に魅せられて躍り続けているわ

逃げ腰の恋ではなにも創りだせないと思うの
だから

な・り・ゆ・き・で
あしたに
さ・せ・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ

「ヤッパリ好キ」

で・も・だ・め・ね
満月
み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女ひとを思い出すの

─────
─────

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[62]spica1004 KY-42C

【東北】


夕暮れまでに帰れよと
我が子に叫ぶ母がいた

故里の冬
 
帰ろうか
 帰ろうよ
  帰ろうか
   今のうち  
東北へ

地面の匂い
時となく
雪をちりばめ
混じりあい
指を凍らす

雪が降る
 雪が降り
  昔いた
   人を呼ぶ  
東北へ

心に深く
突き刺さり
敗れた者を
認めない
故里の冬

心を遠く
突き離し
敗れた者を
許さない
故里の冬

──────
──────

故里を離れて生活したことがない。

60キロ離れた町に転勤させられ、独身寮に住んだことはあったが、週末には車で帰ってきていた。(洗濯物を載せて)

想像のなかの故里は、優しくない。
というより、最悪の故里を想像(創造)することで、現実に甘えようとしているのだろう。



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