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【詩と解題】
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[63]spica1004 KY-42C


【緑ヶ丘】


緑ヶ丘に 優しい風が
わたし誘うように吹き寄せてくるわ

もしも あのとき素直だったら
光さす処へ行けたかもしれない・・・・・・

ためらう言葉ではなにも伝えられないと思うの
だから

お・ね・が・い・よ
このまま
す・て・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ

「アナタガ好キ」

で・も・だ・め・ね
青空
み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女ひとを思い出すの

★

緑ヶ丘に 月影さえて
眠り破るように囁いてくるわ

窓の外では 模様のない蛾が
光に魅せられて躍り続けているわ

逃げ腰の恋ではなにも創りだせないと思うの
だから

な・り・ゆ・き・で
あしたに
さ・せ・な・い・で
せっかく言えそうになったところよ

「ヤッパリ好キ」

で・も・だ・め・ね
満月
み・て・い・る・と

あなたの大事な彼女ひとを思い出すの

─────
─────

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[62]spica1004 KY-42C

【東北】


夕暮れまでに帰れよと
我が子に叫ぶ母がいた

故里の冬
 
帰ろうか
 帰ろうよ
  帰ろうか
   今のうち  
東北へ

地面の匂い
時となく
雪をちりばめ
混じりあい
指を凍らす

雪が降る
 雪が降り
  昔いた
   人を呼ぶ  
東北へ

心に深く
突き刺さり
敗れた者を
認めない
故里の冬

心を遠く
突き離し
敗れた者を
許さない
故里の冬

──────
──────

故里を離れて生活したことがない。

60キロ離れた町に転勤させられ、独身寮に住んだことはあったが、週末には車で帰ってきていた。(洗濯物を載せて)

想像のなかの故里は、優しくない。
というより、最悪の故里を想像(創造)することで、現実に甘えようとしているのだろう。

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[61]spica1004 KY-42C

【オレンジ・アワー】


午後の花園には透明な愛が育つ

けれども熟さないうちに
夕暮れの風がすり抜ける

──それはオレンジの時間
僕によく似合う光

勇気と力を欲しがれ
拳を握れ さりげなく

思い出は音楽にまかせて
もう一度翼を試そう

思い出せ 真実の痛みに寄り添う微笑ほほえみを

★

手紙ひとつ書けず
遅咲きの花も終わる

そうして暦が替わると
短日植物たんじつしょくぶつはじけだす

──それはオレンジの気候
僕の土壇場の祈り

自分に自分を投げ出せ
のたうち回れ 笑いつつ

伝説は役に立たないから
もう二度と言い訳はするな

見苦しい愛もあることだけ
わかっていればいい

★

──それはオレンジの効果
僕の初歩的な希望

秘密も本音も疑え
暗中模索 もがくだけ

ホラ吹きがはびこる時代に
翻訳の聖書はいらない

沈黙が罪でないことまで
宇宙に誇りたい

─────
─────

ユーミンの「コバルト・アワー」というタイトルに惹かれて、曲を聞いたこともないのに、着想を得ました。

短日植物など、よく定義も知らない言葉を使っていますが、
いろんなアイロニー(皮肉)を駆使してみました。

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[60]spica1004 KY-42C
【琥珀】


記憶を
地図の上で確かめ
印を打つ謎解き

あなたはどこなのか
(わからない)

地底に潜む琥珀の嘆き

声にならぬ愛

黄金を掘る人の
砂のような涙を
吸い上げ色を獲える

琥珀たち

★

再び
鑿のみをふるう旅人
疲れ果てる神々

あちこち掘るけれど
(出てこない)

息を詰まらせ
のけぞる人の
最後にあげる声

殺され埋められた
命の集まりが
固まり色を獲る

琥珀たち

────
────

陰鬱な曲ができたので、陰鬱な歌詞を嵌めました。

琥珀って、神秘ですか? 呪縛ですか?

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[59]spica1004 KY-42C

【月が走る】


夜を走るなら
月に背を向けろ

けばだつ心に
月は優しすぎる

楔くさびを打ち込め 
胸の真ん中に

呼び捨てにできる
名前はもうない

澄みし水よ
光を受けて
翳る心に灯る
歌に変われよ

みな幸ある人でいるか

流れにまかれる影でないか

そこは寒いのか
温もれないか

★

誰も顧みぬ
僕の歌だから

誰も顧みぬ
君のために唄う

鏡よ砕けろ 
正義を示すなら

翼を得るとき
僕は駄目になる

澄みし水よ
光を受けて
かたち残すものの
挽歌になれよ

失うものはせめて少なく

見落とすものはせめて小さく

そこは遠いのか
触れあえないか

────
────

修学旅行で行った渡月橋で曲が同時にできた。

詩はかなり修正している。

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[58]spica1004 KY-42C


【ユウレカ】


どこかに
私を望まない人がいるなら
すべての愛を【無】にする冷たい視線を浴びたい

どこかに
私を許さない人がいるなら
言葉の刃物をみがいてむごく殺してかまわない

独りよがりの道徳
哲学のない疑惑

寒い心の裂け目に
罪が細くにじむ夜へと向かう──輪廻

★

こころを
閉ざして見えてくるものがあるなら
阿吽あうんの呼吸をはずしてユングの海で溺れたい

邪悪が
土星の力を得たというのなら
レーキを投げろ
農夫たち
愚者の咎めを気にするな

芸術を楽しむには人は黒くなりすぎた
言葉が通じたうちに臘燭ろうそくを点ともすべきだった

ユウレカ! ユウレカ!

────
────

哲学って、なんなんだろう。



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[57]spica1004 KY-42C


【少女たちは】


少女たちは

青い軌跡

待ち焦がれた

流星たち

──致死遺伝子を私は受け継いだ

私は追いつけない

★

少女たちは

白い音符

歓待された

賢者のよう

──文盲もんもうの系譜を私は受け継いだ

私は語れない

───
───

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[56]spica1004 KY-42C


【夢の流れ】


いくつも
橋を過ぎ

小川は
町に出る

夢みてた人は──
今も夢のなか

かすむ笑顔のように
今も夢のなか

★

別れは
華やいで

小さな
家のそば

聞こえればいいね
さよならの声が

夢の流れはやがて
深い海になる

★

たくさん
人が死に

たくさん
川になる──

出会えたよろこび
なくしたしあわせ

すべてこの川のなか
すべて流れてる

─────
─────

*この川の名は若菜川。

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[55]spica1004 KY-42C


【ララバイ(死に至る病)】


夜が明ける 夜が明ける

さあ目覚めなさい
さあ目覚めなさい

話しなさい 話しなさい

今見てた夢をささやくように

涙の形の小さな雲が
夜明けの空に消え入るまえに

★

悔やみなさい 悔やみなさい

死んだ人たちを
思い煩って

信じなさい 信じなさい

疑うことより やさしいはずよ

泣いた日もあるし
泣く日もくるし

それでもあなたは
止まれないから

死に至る病
何度もかかる

それでもあなたは
止まれないから

────
────



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[54]spica1004 KY-42C


【鏡】


恋の一つや二つなど
とるにたりないことだけど

世界はまだ暗く──君の愛撫を待っていた

夜明けの不思議な光が君の輪郭をなぞれば

歴史は武器となり──君の正義を押し付けた

肩に
髪に
腕に
胸に

ふりつもれよ微粉末

僕の敵は僕が倒す──安心して

君が守る君の世界
理想は現実の鏡
・
・
主題もなしに小説を
書いた人たちが増えすぎ

世界は甘くなり──君の殴打を待っている

8分19秒 光が旅するあいだに

遺伝の核酸拡散は──君の嘔吐をうながした

膝に
腰に
尻に
臍へそに

ふりかかれよ深層水

君の敵は神が殺す──むごたらしく

僕は阻はばむ僕の世界
理想は現実の鏡
・
指に
爪に
眉に
舌に

ふりしきれよ真菌類しんきんるい

神の敵の名前は神──間違いなく

僕は妬む君の世界
理想は現実の鏡
─────
─────
※太陽光が地球に届くまでが8分19秒です。



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[53]spica1004 KY-42C


【信じているよ】


今も忘れない
爽やかな憧れ

僕の好きだった
伸びやかな光

いまはお互いに
遠い町にいる

いつか会えるかな
晴れた朝の庭で

僕の記憶は
色褪せないよ

信じているよ
君は変わらないと

★

今も忘れない
真っ直ぐなまなざし

僕の好きだった
飾らない言葉

それなのにすれ違う
あの頃の不思議さ

しかたなかったと
もう悔やまないから

僕の記憶は
原色のまま

信じているよ
君は笑っていると

────
────

実らなかった、中学時代の恋。

少なくとも、恋だったと信じているもの、その残像。

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[52]spica1004 KY-42C


【辰砂しんしゃ】


風になるよりあなたは速く

みどりの風のなかに駆け出す

ラララ不思議な風景が僕の前に広がる

大きな樹木の下に立って

空に手紙を書いてるあなた

ラララ恋かもしれないね
恋ならいいのにね
美しい辰砂たち

だから
愛してる
だから
愛してる

あなただけが意味を持つのだ

だから
夢みてる
だから
夢みてる

あなただけに日々は微笑む

────
────

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[51]spica1004 KY-42C

【国東半島】


石に刻んだみ仏は

いつも静かに笑ってる

時は無慈悲な鑢やすりです

知らず知らずに削ります

誰のせいでもないし

誰を恨むでもないけれど

人よ覚えていてほしい

こんな小さな祈りだけれど

──────
──────



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[50]spica1004 KY-42C



【今ふるさとでは】


今ふるさとでは
夏の日射し浴びて

人々が歩き
挨拶を交わしてる 

昔の仲間たちは
それぞれの町に帰り

なつかしい歌と
ざわめきを愛してる

晴れた午後には
退屈なほうがいい

東向きの部屋で
ごろりと横になる

さあ思いきって
雄渾にペンをふるえ

空に手紙書こう
今ならば届くから

──────
──────

中学は遠距離通学だった。
良い思い出はほとんどない。

卒業──近くの高校に通えることになり、故郷に帰ってきたような気持ちになれた。

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[49]spica1004 KY-42C


【見えない夜景】


秋の夜更けは数多あまたの流星

吐く息白く闇に躍った

いつもあなたは夕刊越しに

見えないはずの夜景を見ていた

 遠い町の空港では定刻に発つ飛行機が

 赤 緑 きらめかせて

 自由な町を目指してる

─────
─────

心だけ遠く旅立った──そんなことが、かつてあったような気がする。
単なる現実逃避ではなくて。
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[48]spica1004 KY-42C


【シフォン色】


思い出をたぐり 息をひそめてる

ガラス細工の手本のような
一輪の花に

笑いかけながら
声を分けながら

絵の具を混ぜて筆を走らす
シフォン色の午後

水が飲みたいときは
この手を休めていい?

こどもみたいに華やいだ
じだらくな夢を見たい

意味のないこと積み上げて
それでも輝いていたい

──────
──────

実現可能な、高貴な時間とは?

これがひとつの答え。

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[47]spica1004 KY-42C

【光る断片】


葉洩れ陽 手に受け
息をひそめてる

誰もが通った
軌跡は正しい

ああ 受け入れよ 受け入れよ 僕よ

ああ 菩提樹が 心にあるなら

★

優しい雫の
かたちになりたい

点字で書かれた
祈りを読みたい

ああ まろくなれ まろくなれ 僕よ

ああ 白蓮びゃくれんが 心にあるなら

★

有学うがくの態度で 
片隅にいたい

真冬の寒さで
自分を責めたい

ああ おこたるな おこたるな 僕よ 

ああ 優曇華うどんげが 心に咲くなら

──────
──────

有学……仏教では「学ぶべきものがまだ有る」という意味になる。

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[46]spica1004 KY-42C


【家野町】


夕闇迫れば
ひとりの窓で

君は 遠い人を想う

思いがけない 悲しみの果ての

変わりがたき 愛を想う

幸せはここにある

家野が丘をのぼるたびに 心喜ぶ

★

今宵はこのまま
眠りに沈もう

僕は 君に許されたもの

肌寒い夜に 風強い朝に

僕の 心 急がせるもの

幸せはここにある

家野が丘をのぼるたびに 心高まる

────
────

家野町──長崎大学に隣接する町。学生向けの下宿やアパートが点在する。

もっと交流したかったな、大学生同士で。


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[45]spica1004 KY-42C


【小夜曲】


夜のなかに生まれ 朝のなかに育つ
愛は空へ走る青い羽の鳥

闇のなかで見えず 君以外は見えず
月の示唆しさするまま流れに染まりて

ゆらゆら ゆらゆら

漂い 歌うよ 気のむくまま

──────
──────

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[44]spica1004 KY-42C


【麗泉】


生まれたばかりの愛 君の前で光れよ
笑い声をたてよう 妖精たちのように

泉へ いつか行こうよ
静かな瞳がほしい

★

透明な宝石を 森の奥に探そう
軌道それた惑星 森の奥に探そう

泉が 今日も呼んでる
涼しい瞳がほしい

★
女神たちの沐浴もくよく 僕は見てしまったよ
それで殺されるなら それも仕方ないこと

泉が 夕陽を抱くよ
寂しい瞳がほしい

───────
───────

泉って、瞳だと思うのです。
寂しい瞳なら、最高じゃないですか。

蛇足ですが、ギリシャ神話の知識が要ります。





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[43]spica1004 KY-42C


【洗髪】


めを
とじているんだよ
つよく

なみだをこらえるときのように

まだ
とじているんだよ
きっと

じぶんをにくんだときのように


もう
めをあけていいよ

せかいは
おまえのものだから

ね

★★★★★★★★★★★★★★★

(点字による原文)

──せん°はつ──

めを
と゛しているん゛たよ
つよく

なみ゛たを こらえる ときのよーに

ま゛た
と゛しているん゛たよ
きっと

゛し゛ふんを にくん゛た ときのよーに


もー
めをあけていーよ

せかいわ
おまえのもの゛たから

ね

─────
─────


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[42]spica1004 KY-42C


【石英】


粉々に砕いたら白くなる
澄んだ石英

物陰で泣いていたあの人の
涙にも似て

──愛する人はどこにいる?
──愛は形がない気体期待?

ふりそそぐ白い粉

★

いつの日かあの人を思い出し
泣く冬がくる

大切なあの人の名前さえ
忘れる頃に

──終わらね愛はどこにある?
──とても優しい人の手に?

ふりかかる白い粉

─────
─────

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[41]spica1004 KY-42C


【まどろみ】


やすらかな眠り
つかのまの憩い

幼い頃まで
時間を戻そう

なお善よき言葉を疑いもせず
信じて笑った
私はどこに

いまの私は混濁・・・・・・ 

★

せせらぎは味方
さざなみは涙

ひとりの喜び
分けあう幸せ

優しい言葉をためらうように
私に与えた
あなたはどこに

いまの私は頑迷がんめい・・・・・・


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[40]spica1004 KY-42C



【解ける氷】

その掌たなごころに氷のかけらを載せて

水に戻るまで見つめている君よ

歩いていこう 死にたいときほど

会えたのに別れ 恋した人もいまは別々の町

★

生まれたときから人は平等じゃない

報われぬ明日は何度でも来るのに

切歯扼腕せっしやきわんするしかないけど

信じても別れ 許した人もいまは別々の恋

────────
────────



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[39]spica1004 KY-42C


【POLA】


地に至る星たちが
小さな声で人を呼ぶ

気まぐれな旅に出る
悲しい人に会いにいく

When I dream,I see you.
星になれ

Let me scream,Make it true.
蜜になれ

★

始まりは誰だって
無垢の裸で会えたのに

泣き顔が似合う人
いまの私はそんな人

When I dream,I see you.
星になれ

Let me scream,Make it true.
蜜になれ

────────
───────

英語詩は押韻しないといけないから。

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